こん**は。名鉄バスでは愛知県岡崎市内にあったバス専用道路:福岡町バス専用道路を2016年3月31日の営業終了をもって廃止しました。
なぜ“鉄ネタ”書庫でバス専用道路を取り上げるかと思われた方もいらっしゃることと思いますが、これには理由があり、福岡町バス専用道路がかつての鉄道路線の線路敷を転用した経緯を持っていたことから今回“鉄ネタ”書庫で紹介します。
福岡町バス専用道路は西三軌道によって1911年10月に岡崎新-西尾間13.3kmを開業したのがそのルーツで、1912年1月に西三軌道が西尾鉄道に社名変更、1926年12月に愛知電気鉄道が西尾鉄道を合併し、愛知電気鉄道西尾線となりました。
その後1929年4月に軌間を762mmから1,067mmへ改軌、同時に直流600Vで電化されたものの戦時中の不要不急路線に指定され1943年12月16日付で営業休止となり、線路設備は一旦撤去されました。
路線の復活は戦後の1951年12月で、休止区間のうち岡崎駅前(旧岡崎新)-福岡町(旧土呂)間2.5kmが福岡線として復活、当時岡崎市内で運行していた路面電車:岡崎市内線と一体化した電車の運行が開始され、この時に柱町・東若松・西若松の3駅が開業しました(休止となっていた福岡町-西尾間10.3kmについては復活することなく1959年11月25日付で正式廃止)。
しかし、並行して走るバス路線に乗客が流れて累積赤字が増大、採算が取れなくなったことから1962年6月17日に岡崎市内線ともども路線廃止となり、福岡線については廃止後線路設備の撤去を実施してバス専用道路へ変更、以来54年にわたりバス専用道路として使用が続けられてきました。
そして2016年度に岡崎市では福岡町バス専用道路の沿線の若松町・福岡町地区において都市計画道路整備事業・区画整備事業・下水道整備事業に着手、これらの事業の着手により福岡町バス専用道路が分断される事から福岡町バス専用道路の使用を2016年3月31日の営業終了をもって廃止、旧西三軌道西尾線として開業以来105年にわたる歴史に幕が下ろされました。
そこでこの福岡町バス専用道路について区間ごとに紹介していきます。
・岡崎駅前-柱町間
岡崎駅前-柱町間はJR東海道線の東側に並行してバス専用道路が設けられていましたが、近年行われたJR岡崎駅東口駅前広場整備と区画整備事業実施により運行経路変更が実施され、一般道路経由に変更されました。
・柱町-東若松間
柱町からはかつての鉄道線:福岡線の線路跡を利用したバス専用道路が続いていました。道路幅員は大型バス1台分が走行できる幅員が確保され、途中行き違いのための退避スペースが確保されていました。
・東若松-西若松間
東若松停留所を発車したバスは進行方向右手にJR東海岡崎変電所を望みつつ下り坂を下り、坂を下りたところで右にカーブしてJR東海道線をくぐり、しばらく走ると西若松停留所に到着しました。
・西若松-福岡町間
西若松停留所を発車したバスは住宅地や田園地帯を南北に貫く形でバス専用道路が走っていました。途中愛知県道43号線岡崎碧南線をアンダーパスでくぐり、田園地帯の中をしばらく走ると福岡町バス専用道路の終点:福岡町に到着します。福岡町はラケット状のロータリーで転回スペースが設けられており、到着したバスはしばしの休息の後もと来た道を戻っていきました。
↑福岡町停留所全景(下画像は2016年1月10日撮影)。福岡線の終点:福岡町駅跡地に停留所とバス転回スペースが設けられていた。なおバス専用道路供用開始当初は鉄道線時代に使用されていた駅舎が待合所として供用されていたが1970年代に解体撤去された。
福岡町バス専用道路を走行していたバス路線は名鉄バス岡崎市内線です。名鉄バス岡崎市内線は岡崎市内で運行されていた路面電車:岡崎市内線の廃止代替バスとして1962年6月に福岡町-岡崎駅前-東岡崎-大樹寺間の系統として新設されたもので、2015年4月1日実施のダイヤ改正時点では平日は7つの系統が、土曜休日は6つの系統がそれぞれ運行され、日中は1時間当たり3本が運行されていました。運行系統は下記の通りとなります。
1号系統:福岡町-東若松-JR岡崎駅前-東岡崎-康生町-大樹寺-岩脇-奥殿陣屋
2号系統:福岡町-東若松-JR岡崎駅前-東岡崎-康生町-大樹寺-東名岩津(注1)
3号系統:福岡町-東若松-JR岡崎駅前-東岡崎-康生町-大樹寺-畝部-三河上郷駅(注2)
4号系統:福岡町-東若松-JR岡崎駅前-東岡崎-康生町-大樹寺-上里口-大門駅
5号系統:福岡町-東若松-JR岡崎駅前-東岡崎-康生町-大樹寺-荒井山-滝団地
6号系統:福岡町-東若松-JR岡崎駅前-東岡崎-康生町-大樹寺
9号系統:福岡町-東若松-JR岡崎駅前-東岡崎
(注1)平日深夜帯のみ運行
(注2)三河上郷駅発福岡町行き片道のみ運行
10時台から14時台は毎時3本が運行されていたが運行ダイヤサイクルは32分・20分・18分の不等間隔ダイヤが組まれていた。1号系統奥殿陣屋行きのうち平日の13時台は北斗台団地経由で運行、また平日・土曜休日とも岡崎営業所(ちなみに名鉄バス岡崎営業所は名鉄東岡崎駅近くに所在)への営業入庫を兼ねて9号系統:東岡崎行きが平日・土曜休日とも3本ずつ設定されていた。
↑こちらはJR岡崎駅前停留所に掲示されていた運行時刻表。平日の11時台から15時台と土曜休日の10時台から14時台は毎時3本ずつが運行されていたが、運行ヘッドサイクルが20分・13分・17分と不等間隔で運行されていた。
なお名鉄バスでは福岡町バス専用道路の廃止に伴い岡崎市内線の福岡町-東若松-JR岡崎駅前間の運行を2016年3月31日の営業終了をもって廃止、代替系統として2016年4月1日から福岡町線(12号系統:東岡崎駅南口-JR岡崎駅前-願成寺前-福岡町)の運行を開始しました。
※本記事掲載画像は撮影日表記無きものはすべて2016年3月27日撮影